就業規則の給与規程(賃金規程)とは?記載事項や注意点など

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はじめに

就業規則の中でも、給与規程(賃金規程)は企業の賃金支払いに関するルールを定める重要な部分です。適切に整備された給与規程は、従業員との信頼関係を築き、トラブルを未然に防ぐために欠かせません。本記事では、給与規程の基本的な役割や記載すべき事項、作成時の法的義務、さらには注意すべきポイントについて詳しく解説します。

給与規程(賃金規程)とは?

給与規程の基本的な定義

給与規程(賃金規程)とは、企業が従業員に支払う賃金に関するルールを定めたものです。これには、基本給や各種手当、賞与などが含まれ、従業員に対する報酬の体系を明文化する役割を果たします。給与規程は、労働基準法に基づき、企業の規模にかかわらず作成が推奨されています。特にトラブル回避のためには、詳細な規定を設けておくことが重要です。

給与規程が必要となる理由

給与規程が必要となる理由は、労使間のトラブルを防ぐためです。賃金に関する不透明なルールや不公平な扱いが発生すると、従業員からの信頼を失い、訴訟や紛争に発展することがあります。給与規程が整備されていれば、企業と従業員の間で賃金に関するルールが共有され、従業員の不安を解消することができます。また、企業側にとっても、規則に基づいた適正な対応を行うための指針となります。

労働基準法における賃金の定義

労働基準法では、賃金とは「労働の対価として支払われる全てのもの」と定義されています。これは、基本給や手当、賞与、時間外労働の割増賃金など、従業員に対して支払われる全ての金銭的報酬を含みます。この定義に基づき、企業は賃金規程を作成し、従業員が受け取る報酬が正当かつ透明であることを示す必要があります。

給与規程に記載すべき事項

基本給、手当、賞与などの賃金構成

給与規程には、賃金の構成要素を明確に記載する必要があります。基本給は、従業員に対して支払われる定額の報酬であり、業績や労働時間に関わらず毎月支払われます。手当としては、通勤手当や住宅手当、家族手当などが挙げられ、これも規定として明記しておく必要があります。賞与に関しては、支給基準や支給時期を詳細に記載することで、従業員に対する公平性を保つことが重要です。

賃金の支払い日と支払い方法

労働基準法第24条では、賃金は「毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うこと」と規定されています。このため、給与規程には賃金の支払い日を明記し、給与が遅滞なく支払われることを従業員に保証する必要があります。また、支払い方法(振込や現金など)も明確に記載することで、従業員が支払いに関して不安を感じることがないようにします。

残業代、休日出勤手当、深夜勤務手当

残業や休日出勤、深夜勤務に対する割増賃金も給与規程に含める必要があります。労働基準法では、時間外労働に対して25%以上の割増賃金、休日労働には35%以上、深夜労働には25%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。これらの支払いに関する詳細な規定を設けることで、従業員の労働条件を法的に守ることが可能です。

賃金控除の規定(社会保険料、税金など)

賃金から控除される社会保険料や税金についても、給与規程に明記する必要があります。控除項目としては、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが該当し、これらを適切に記載することで、従業員が控除額について正確に理解できるようにします。また、労使協定に基づく控除(社宅費用や食費など)についても、事前に規程内に記載しておくことが重要です。

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賃金規程の作成における法的義務

労働基準法で求められる賃金に関する規定

労働基準法では、賃金に関していくつかの重要な規定が定められています。例えば、最低賃金の保障や賃金の全額払いの原則などが含まれます。賃金規程を作成する際には、これらの法的要件を遵守することが求められ、違反があった場合には労働基準監督署からの指導や罰則が科せられる可能性があります。

賃金の最低限保障に関する法律

最低賃金法では、労働者に対して一定の最低賃金を保障することが義務付けられています。都道府県ごとに定められた最低賃金を下回る賃金を支払うことは違法であり、違反した場合には罰則が科せられます。したがって、賃金規程を作成する際には、必ず最低賃金を考慮し、企業内の賃金体系が法律に準拠しているかを確認することが重要です。

労働者代表との協議の必要性

賃金規程の作成や変更にあたっては、労働者代表との協議が不可欠です。企業が一方的に規程を決定することは労使関係に緊張を生じさせ、労働者の不満を招く可能性があります。労働者の意見を反映させることで、従業員にとっても納得のいく規程となり、信頼関係の構築につながります。

賃金規程に含めるべき注意点

法定労働時間を超えた場合の割増賃金

労働基準法では、法定労働時間を超えた労働に対して割増賃金を支払う義務があります。これには、時間外労働や休日出勤、深夜労働が含まれ、割増率は法定の最低基準を下回らないように設定する必要があります。賃金規程には、これらの割増賃金に関するルールを明確に記載することで、従業員が自身の労働時間と報酬を正確に把握できるようにします。

遅刻・早退・欠勤時の賃金控除

従業員が遅刻や早退、欠勤をした場合の賃金控除に関するルールも、給与規程に明記する必要があります。賃金控除を行う場合は、合理的な範囲内で行わなければならず、過度な控除は労働基準法に違反する可能性があります。また、控除の理由や計算方法を具体的に示すことで、従業員に対して透明性を保つことが重要です。

不当な賃金カットを避けるための方法

不当な賃金カットは、従業員のモチベーションを下げるだけでなく、訴訟リスクを高めます。労働基準法では、賃金は全額を支払うことが原則とされています。したがって、賃金カットを行う際には、合理的な理由が必要であり、その内容を賃金規程に明確に記載しておくことが重要です。具体的な事例や適用基準を示すことで、トラブルを回避できます。

トラブル防止のための明確な記載

給与規程は、トラブルを防ぐためにできるだけ詳細かつ明確に記載することが求められます。曖昧な表現や不明瞭なルールは、労使間の誤解を招く原因となります。特に、賃金の支払い方法や手当の支給条件については、従業員に対して理解しやすい形で記載することが重要です。

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賃金規程と他の就業規則との関連

就業規則全体との整合性

賃金規程は、就業規則全体との整合性を保つ必要があります。例えば、労働時間に関する規定や、休暇に関する規定と矛盾する内容が含まれている場合、従業員に対して不信感を与える可能性があります。したがって、賃金規程を作成する際には、就業規則全体の内容を確認し、整合性を保ちながら記載することが重要です。

勤怠規程、労働時間規程との関係

賃金規程は、勤怠規程や労働時間規程と密接に関連しています。勤怠管理や労働時間のルールが賃金に直結するため、これらの規程との連携が不可欠です。たとえば、残業時間の取り扱いや遅刻・早退の対応について、勤怠規程と賃金規程が矛盾しないように整備することが大切です。

賃金規程の変更時の対応手順

賃金規程を変更する際には、労働者に対して適切な説明を行い、同意を得るプロセスが必要です。特に、賃金に関する規定が労働者に不利益となる場合、労働基準法の規定により労働者代表との協議が求められます。変更の際は、労使間でのコミュニケーションをしっかりと行い、トラブルを防ぎましょう。

賃金規程の変更・改訂に関するポイント

法改正や賃金体系の変更に伴う見直し

賃金規程は、法改正や賃金体系の変更に応じて見直す必要があります。特に、最低賃金法の改正や労働基準法の改正に伴い、企業は賃金規程を適時に変更しなければなりません。適切なタイミングで見直しを行わないと、法的リスクが高まり、労働基準監督署からの指導を受ける可能性があります。

労使協議の重要性と実務的な対応

賃金規程の変更にあたっては、労働者代表との協議が法的に求められます。このプロセスは、労使間の信頼関係を構築するためにも重要です。労働者の意見を反映させることで、変更後の賃金規程が従業員に受け入れられやすくなり、トラブルの発生を未然に防ぐことができます。実務的な対応としては、変更内容の明確な説明と、従業員への通知方法を徹底することが大切です。

従業員への周知方法と実施までの流れ

賃金規程の変更が完了したら、従業員に対して適切に周知する必要があります。周知方法としては、社内掲示板やイントラネットを活用するほか、全体会議で説明するなど、従業員全員に伝わる形で行うことが重要です。周知後、従業員からの疑問や不安に対して丁寧に対応することで、円滑な実施が可能となります。

賃金規程が守られなかった場合のリスク

労働基準法違反による罰則

賃金規程が守られていない場合、企業は労働基準法違反となり、罰則を受ける可能性があります。特に、最低賃金法や時間外労働に関する規定を違反した場合、企業に対して罰金や是正勧告が科せられることがあります。また、企業の信用に傷がつき、従業員からの信頼も失われるリスクが高まります。

労働者からの訴訟リスクと企業対応

賃金規程が適正に運用されていない場合、労働者が企業に対して訴訟を起こすリスクが高まります。特に、残業代未払いなどの問題が発覚した場合、企業は大きな法的責任を負う可能性があります。訴訟リスクを避けるためには、賃金規程を法的に適正な形で運用し、定期的に見直すことが重要です。

労働基準監督署からの是正勧告

労働基準監督署は、賃金規程に問題がある場合、是正勧告を行います。この勧告は、企業に対して違反を是正するよう指導するものであり、従わない場合には罰則が科せられる可能性があります。企業は、賃金規程が法的に適正かどうかを定期的にチェックし、必要に応じて迅速に修正することが求められます。

まとめ

給与規程(賃金規程)は、企業が労働者に対して支払う賃金に関する重要な規則であり、適切に整備することで労使間のトラブルを防ぐことができます。賃金規程は法的な義務として作成するだけでなく、定期的な見直しや従業員への周知も重要です。本記事を参考に、賃金規程をしっかりと整備し、法令遵守を徹底することで、健全な労働環境を実現しましょう。


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