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はじめに
残業は、多くの企業で日常的に行われている労働慣行ですが、長時間労働による従業員の健康への影響や、ワークライフバランスの崩壊が社会問題となっています。働き方改革関連法の施行により、残業規制が強化され、企業には適切な残業管理が求められるようになりました。就業規則における残業規定は、法律との整合性を保ちつつ、自社の実情に合った内容でなければなりません。本記事では、残業規定の意義や内容、設定における留意点、働き方改革との関係など、実務に役立つ情報をお伝えします。適切な残業規定の設定と運用を通じて、従業員の健康確保と生産性向上の両立を目指しましょう。
残業規定の意義と目的
労働時間管理の重要性
労働時間管理は、従業員の健康確保とワークライフバランスの実現に直結する重要な課題です。長時間労働は、従業員の心身の健康を損ない、仕事の質の低下や事故のリスクを高めます。また、仕事と生活の調和が取れない状態が続くと、モチベーションの低下や離職につながる恐れがあります。労働時間管理を適切に行うことは、従業員の well-being と企業の生産性向上の観点から欠かせません。
残業規定の役割
残業規定は、労働時間管理の基本ルールを定めるものです。どのような場合に残業が認められるのか、残業手当の計算方法は何か、時間外労働の上限はどう設定されているのかなど、残業に関する重要事項を明文化します。残業規定があることで、従業員は残業の条件を明確に理解し、適切な残業管理のもとで働くことができます。また、会社にとっても、残業規定は法律違反のリスクを避け、適正な労務管理を行う上での指針となります。
残業規定の内容
残業の定義
残業規定では、まず残業の定義を明確にします。一般的に残業とは、所定労働時間を超えて働くことを指しますが、その捉え方は企業によって異なります。例えば、始業前や終業後の業務は残業に含めるのか、休憩時間中の労働は残業とみなすのかなど、細かな定義が必要です。曖昧な定義は、労働時間の適正把握を難しくし、トラブルの原因となります。
残業命令の手続き
残業を行うには、所定の手続きが必要です。多くの企業では、上司の事前承認を得ることを義務付けています。残業命令の手続きを規定しておくことで、安易な残業を防止し、業務の必要性を見極めた上で残業を行うことができます。事前承認制度があれば、従業員も計画的に仕事を進められるでしょう。
残業手当の計算方法
残業手当は、残業規定の中でも特に重要な部分です。労働基準法では、時間外労働に対して通常の賃金の2割5分以上の割増賃金を支払うことが義務付けられています。残業規定では、この割増率をどのように設定するのか、残業手当の計算方法を具体的に定めます。基本給と諸手当のどの部分を計算基礎とするのか、端数処理をどうするのかなど、明確なルールが求められます。
時間外労働の上限規制
2019年4月から、時間外労働の上限規制が導入されました。残業規定では、この上限規制に対応した内容を盛り込む必要があります。原則として、月45時間、年360時間を超える時間外労働は認められません。臨時的な特別の事情がある場合でも、年720時間以内、単月100時間未満、複数月平均80時間以内という上限があります。これらの上限を超えないよう、適切な残業管理を行うための規定が欠かせません。
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残業規定の設定における留意点
労働基準法との整合性
残業規定を設定する際は、労働基準法をはじめとする労働関連法規との整合性を図ることが大前提です。割増賃金の計算方法や時間外労働の上限など、法律で定められた基準を満たさない規定は認められません。コンプライアンス上のリスクを避けるためにも、法律の理解を深め、適切な内容とすることが求められます。
36協定の締結
時間外労働を行うには、労働基準法第36条に基づく協定(36協定)の締結が必要です。使用者は労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表する者との間で、時間外労働の上限などを定めた協定を結ばなければなりません。残業規定は、36協定の内容を反映したものでなければなりません。
働き方改革関連法への対応
2019年4月に施行された働き方改革関連法により、残業規制が大きく変わりました。月45時間、年360時間の上限規制のほか、高度プロフェッショナル制度の創設、フレックスタイム制の拡充など、多岐にわたる改正が行われています。残業規定には、これらの法改正に対応した内容を盛り込む必要があります。自社の実情に合った規定の見直しが求められます。
従業員の健康配慮
残業規定の設定では、従業員の健康への配慮が欠かせません。長時間労働が従業員の心身に与える影響を十分に考慮し、過度な残業を防止するための工夫が必要です。例えば、深夜残業の制限や、休憩時間の確保、連続勤務日数の上限設定など、健康確保につながる規定を設けることが望まれます。
残業規定と働き方改革
長時間労働の是正
働き方改革の大きな目的の一つは、長時間労働の是正です。残業規定は、長時間労働を防止するための重要なツールといえます。上限規制への対応はもちろん、業務の効率化や人員配置の適正化など、残業を減らすための取り組みを規定に盛り込むことが求められます。残業規定を通じて、長時間労働の是正を推進していくことが可能です。
働き方の多様化への対応
働き方改革では、働き方の多様化も重要なテーマです。テレワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方を可能にする制度の導入が進んでいます。残業規定においても、多様な働き方に対応した内容を盛り込むことが求められます。例えば、在宅勤務者の労働時間管理の方法や、フレックスタイム制における残業の取扱いなど、新しい働き方に対応したルールが必要です。
生産性向上の促進
残業規定は、生産性向上の観点からも重要な役割を果たします。従業員が長時間残業に従事していては、業務の効率化は望めません。残業規定において、生産性向上につながる取り組みを推進することが求められます。例えば、業務の棚卸しや無駄の排除、ITツールの活用など、残業を減らすための具体的な施策を盛り込むことが考えられます。生産性の高い働き方を実現するための指針として、残業規定を位置付けることが大切です。
残業規定の運用における注意点
適切な残業管理の実施
残業規定の実効性を確保するためには、適切な残業管理の実施が欠かせません。上限規制の遵守はもちろん、残業の必要性を精査し、業務の効率化を図ることが求められます。労働時間の適正な把握のための仕組みづくりも重要です。タイムカードやPCログなどを活用し、客観的なデータに基づく残業管理を行う必要があります。
残業の事前承認と事後確認
残業規定で定めた手続きを確実に運用することが大切です。残業の事前承認制度を徹底し、上司が業務の必要性を見極めた上で残業を命じるようにします。事後的にも、残業の実態を確認し、適正な残業が行われているかどうかをチェックすることが求められます。形骸化した運用では、残業規定の意味がありません。
労働時間の適正な把握
残業管理を適切に行うには、正確な労働時間の把握が不可欠です。始業・終業時刻の記録、休憩時間の管理など、労働時間の実態を漏れなく把握する必要があります。在宅勤務者など、直接の管理が難しい場合は、本人からの申告に頼るのではなく、客観的な方法で労働時間を把握することが求められます。
適切な休憩・休日の付与
残業規定の運用では、適切な休憩・休日の付与にも注意が必要です。長時間労働が続くと、疲労が蓄積し、健康を害するリスクが高まります。残業規定において、一定時間以上の残業には休憩を義務付けたり、連続勤務日数に上限を設けたりするなど、健康確保のための工夫が求められます。
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残業規定の見直しと改善
残業の実態把握
残業規定の見直しや改善を行うには、まず残業の実態を正確に把握することが大切です。部署ごと、個人ごとの残業時間を集計し、データに基づいて課題を分析します。恒常的な長時間残業が発生している部署はないか、特定の従業員に残業が偏っていないかなど、実態の可視化が欠かせません。
業務効率化の推進
残業時間を減らすには、業務の効率化が不可欠です。残業の実態を踏まえ、業務プロセスの見直しや、IT化の推進など、生産性向上のための施策を検討します。残業規定の中に、業務効率化に向けた取り組みを盛り込むことで、全社的な意識改革を促すことができるでしょう。
従業員の意見の反映
残業規定の見直しには、従業員の意見を反映することが大切です。残業の多い部署の従業員にヒアリングを行うなどして、現場の問題意識を把握します。従業員の視点に立った改善策を盛り込むことで、規定の実効性が高まります。従業員参加型の見直しプロセスを通じて、納得感のある規定づくりを目指しましょう。
定期的な見直しの実施
残業規定は、定期的に見直しを行い、必要に応じて改定することが求められます。法改正への対応はもちろん、残業の実態や従業員の意見を踏まえて、より良い規定を目指します。PDCAサイクルを回すことで、残業規定の実効性を高めていくことが可能です。
残業規定に関する従業員との対話
残業規定の説明と周知
残業規定を適切に運用するには、従業員への丁寧な説明と周知が欠かせません。規定の内容や趣旨を分かりやすく伝え、従業員の理解を得ることが大切です。イントラネットへの掲載やメールでの配信など、周知方法を工夫することも重要です。規定に対する従業員の疑問や不安に真摯に対応し、納得感を高めることが求められます。
従業員の意見の聴取
残業規定の運用では、従業員の意見に耳を傾けることが大切です。日頃から、残業に関する従業員の問題意識を把握するよう努めます。規定の見直しの際には、従業員へのアンケートやヒアリングを実施し、改善に向けた意見を募ります。現場の声を反映することで、より実効性の高い規定づくりが可能となります。
労使協議の実施
残業規定の策定や改定には、労使協議が欠かせません。36協定の締結はもちろん、規定の内容についても、労働者代表との協議が必要です。労使が協力して、適切な残業規定を作り上げることが求められます。建設的な労使協議を通じて、従業員の納得感を得ながら、働きやすい職場環境の実現を目指しましょう。
まとめ
本記事では、就業規則における残業規定について、その意義や内容、設定における留意点、運用上の注意点などを詳しく解説しました。残業規定は、働き方改革の重要な柱の一つであり、適切な内容と運用が求められます。法律との整合性を保ちつつ、自社の実情に合わせて規定を設計することが大切です。運用面では、適正な残業管理と労働時間の把握、従業員の健康配慮などが欠かせません。
残業の実態を踏まえた規定の見直しと改善、従業員との丁寧な対話も重要なポイントです。残業規定を通じて、長時間労働の是正と生産性向上の両立を実現することが期待されます。働きやすい職場環境の実現に向け、適切な残業規定の策定と運用に取り組んでいきましょう。
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